モロ屋

酒とケモ耳の力を借りて乱世を生き抜くWeb屋の雑記

ラスベガスから学ぶ、カジノとエンタテイメント

たまには、すこしまじめなメディアの話をしようかなと思い立ちました(迫真)


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唐突ですが、ラスベガスという場所で思い浮かべるものはなんですか?


夜通し明るいネオンが光る街並み、あちこちから聞こえる騒ぎ声、そしてカジノ。

ラスベガスといえば賭博ですよ、ギャンブルです!


ところが日本では「カジノ = 目付きの悪い黒服のマフィアたちがウロウロしてるようなイメージ」のような、悪どい黒いイメージが先行していることが多いようです。

ニセコイの千棘のようなマフィアなら略


でも実際のところ、現代のカジノはそういった犯罪が入り込む余地のないエンターテイメントとして成り立っています。

では、ラスベガスの歴史を少しだけ紐解いてみましょう。




ラスベガスの最初は、ゴールドラッシュが関係しています。

1840年代にカリフォルニアでゴールドラッシュが起き、カリフォルニアへ向かう途中の経由地点として栄え、住み着く人々が現れました。


続いて、1929年に起きた大恐慌を打開するための、ニューディール政策の一環としてフーバーダムが建設。

さらに特徴のないのが特徴のネバダ州では、ギャンブルを合法化してなんとかしようとします。


結局ゴールドラッシュから100年近く経っても田舎町だったラスベガスに、とある有名マフィアがフラミンゴ・ラスベガスというホテルを建設したのが1946年のこと。

じわじわと儲かりはじめて、1950年代から本格的にマフィアたちが次々にホテルを建設。さらに有名人を使ってショーを行い、盛んな集客を行うようになりました。


この頃のラスベガスは、合法的な売春と賭博の街でした。


これが変わってきたのは、カジノライセンス法が改正された1969年頃。

カジノのライセンスを管理する「ゲーミング・コミッション」や「ゲーミング・コントロール・ボード」等が設立されて、当局の取締りを強化。

犯罪に関わる全てのものを排除し、マネーロンダリングなどに対する厳しい処罰を設けることで、マフィアにとってラスベガスは金儲けがしずらい土地となっていくわけです。

そうしてマフィアが自ら放棄したラスベガスに、大手企業がドカドカと参入してきます。


まずカーク・カーコリアンというスーパー富豪なアメリカの実業家。

この方が1969年に「ラスベガス・インターナショナル」という、当時世界最大のホテルをおっ建てました。これが、現在のラスベガス・ヒルトンです。



ここで最初にエルヴィス・プレスリーとバーブラ・ストライサンド、2人の著名人を呼んでショーを行い、客をガンガン呼び込みました。


さらにスティーブ・ウィンが「ミラージュ」ホテルを建設、これがテーマホテルの草分けと言われています。



ミラージュではボクシング世界戦を集中興行するなどして、さらに人を集めます。

ラスベガスで興行すると一定のフィーが入るような仕組みにもなっていたそうな。


対するカーコリアンは1993年に、のちにプロレスやボクシングなどの格闘技界の殿堂とも呼ばれるようになる「MGMグランド・ガーデン・アリーナ」を建設。



ブリトニー・スピアーズなんかもコンサートに使うなど、かなりの盛り上がりを見せます。


それをみたウィンは「ベラージオ」ホテルを建設。

目玉アトラクションとして、シルク・ドゥ・ソレイユのショーを興行。



東京ディズニーリゾートのシルク・ドゥ・ソレイユは、今年いっぱいで公演終了らしいですね(´・ω・`)



ていうか実業家さん、ポコポコとホテル建てすぎですね…(遠い目)


それだけカジノを中心にエンターテイメントを集めた娯楽施設(テーマホテル)は儲かったということなんです。



つまり、ラスベガスはカジノだけで収益をあげているのではなく、複合施設コンセプトが必須条件ということですね。


まずカジノ、そして大型のホテル。そこに常設のライブ・エンタテイメントが備えられ、さらにブランドショップからコンベンションまでが施設内で営業。さらにスパやフィットネスが充実していく… という集合娯楽施設です。

ちなみに今のラスベガスは、アメリカでどこよりも治安の良い観光地といわれています。



そして、この勢いはマカオへと移ります。


2004年に「ラスベガス・サンズ」社が「サンズ・マカオ」というカジノリゾートを建設。



建設には2.4億米ドルの資金が注ぎ込まれたものの、なんとわずか半年で回収してしまうという化物っぷり。


マカオでカジノリゾートは儲かる! と分かった実業家たちが次々に資金を投入。

2010年までに120億米ドルを上回る投資で、20の新しいカジノリゾートホテルが建設されたそうな。


観光客は2000年の900万人から、2007年には2,700万人に増加。

2006年のマカオでのカジノ総売上は72億米ドルを記録し、ラスベガス・ストリップの65億米ドル超え。

2008年には、137億米ドルの売上を記録。

2010年には、235億米ドルに。前年比58%増、規模はラスベガスの4倍。どういうことなの…


現在は、未開発のCotal Strip地域だけで2012年までに新たに3万を超える客室が建設され、Cotalの商業スペースは10万坪以上、世界最大規模になるとかで破竹の勢い。



既に観光客の数では、3,500万人とラスベガスと渡り合っているマカオ。

成長しつづけるマカオのほうは、2020年には7,000万人になるだろうと予測が出ているらしい。



ただし!


ラスベガスはカジノ売上が65億米ドル、カジノ以外の売上は90億米ドル。

マカオはカジノ売上が235億米ドル、カジノ以外の売上は20億米ドルに留まる。


この数字は「ギャンブル好き」とされる中国人観光客の勢いをきれいに表しているとも言えますな。


マカオ以外でも、シンガポールでも開発が行われ、シンガポールでのカジノ売上は65億米ドルまで成長。

もうラスベガスと同規模になっています。



まとめると、カジノは単体で収益を上げるものではなく、カジノリゾートとして複合施設コンセプト。

そこに大型のライブエンタテイメントの土壌が生まれる。

つまり、カジノの開発に連動してアジアのライブエンタテイメントは活性化すると考えられます。

アジア市場にカジノ施設が加わることで、欧米に匹敵するエンタテイメント市場が構築されるのは、ほぼ間違いないんじゃないかと。




さて、日本では「国際観光産業振興議員連盟(通称:カジノ議連)」が、東日本大震災を受けて一気に動き始めています。

保守的な日本では賛否両論、どちらかというと否定派が多かった賭博の合法化ですが、震災復興・観光立国の起爆剤としてカジノ区域整備推進法案が8月に正式決定され、収益を復興財源に充てられるとして注目を集めています。



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(今月19日の記事)



具体的には、仙台にカジノを作る計画。

長崎のハウステンボスや東京ドームでも、成長戦略の研究開発としてカジノ事業をあげはじめ、ラスベガスなどの米国企業も日本に照準を合わせ始めて、事業が本格化しそうな雰囲気を出しています。


まだ日本では、冒頭で述べたような「カジノ=闇社会への関係」というイメージが根強く、合法化への抵抗が強いんですが、ここまでで書いたように「危険性が強いからこそ取り締まりを普通より数倍強化するから、逆に最も安全」となっているのが実情ではないかと。


またギャンブル中毒について。

シンガポールでは外国人観光客がカジノに入るのは無料ですが、国民は入場料を100ドル支払う必要があります。高い!

持ち物検査から本人確認が隅々に渡って行われ、親族は政府に申請することでギャンブル中毒になった人がまたカジノに行っていないか確認することが出来るような制度もあります。(入場拒否も出来るのかな? このへんは不明)


これからの日本のエンタテイメント市場を、アジア全体で通用するレベルに押し上げるためには、現実解として大型カジノ開発が必要不可欠なのではないかと思います。


特に不振が続く音楽業界。

音楽コンテンツで売り上げるのではなく、アーティストのライブ、コンサート、ツアーなど本人稼働のビジネスモデルにせざるを得ないことが明白になっている今、その土壌を育てることは絶対なのではないかと。

さらにゲーム業界を牽引する日本だからこそ生み出せる、新たなビジネスやエンタテイメントがカジノリゾートと連動して生まれることも十分に有り得るのではないか、そう思わざるをえない国際状況になっています。



エンタテイメントを国内だけで消費する時代は終焉を迎えています。

アジアの、そして日本のカジノリゾートはどうなるのか。

そしてエンタテイメント市場はどのように変化していくのか、引き続き見守っていこうと思います。